表情にはその人の人生で培ってきた性格が現れます。
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固い笑顔や無表情、絶望感を感じさせる垂れ下がった口元。
強迫的な性格で生きてきた方は、固まったような上唇をしています。
緊張した顎や弱々しい顎先、こけた頬、あがった頬などは
その人の顔の筋肉の使い方を物語っているわけです。
健康な子供(あるいは大人)であれば、
感情表現に伴う顔の全領域の筋肉を使い
柔らかく受容的に見えるでしょう。
一方、緊張のある人は顔の狭い範囲に表情を限定しています。
これは、ストレスに対処するために身につけたものです。
このような性格が習慣となれば、意識的に表情を変える事は困難です。
表情の背後にある感情を解放しない限り変化することはありません。
セラピーの解放のサポートを受けながら練習していく必要があります。
顔は進化の過程で腸が外に飛び出した脱腸の様な産物です。
本来は身体の内側、つまり内臓の筋肉である不随意筋で動くものです。
意志でコントロール出来ない、ありのままの反応をするはずですが
人間はその上に厚化粧の様に、意志でコントロールできる随意の筋肉をまとっています。
自ら仮面をつけるために複雑な表情を作り上げていくわけです。
いずれ仮面が自分となり、本来の柔軟で柔らかい表情、感情は失われていきます。
セラピーで解放が起こる場合の感情は普通、幼少期の頃の感情です。
最初に感情表現のブロックが起こるのは幼児期だからです。
当然そうなるわけですが、
大人としての仮面がついている限りは
それに気づくことはとても難しいものです。
代わりに無意識(不随意の表情、感情)が反応し
目の前で起きている状況に還元(投射)してしまいます。
会社の上司を父親に見立てて腹を立てていたり
パートナーに母の面影を投影し、子供の時の振る舞いを繰り返します。
親が子供に自分の面影を見ていて、過度な心配や、イライラ、矯正を行うことは
最も現れやすくなりますが
無意識、無自覚に起こる反応に気づくのはやはり容易ではありません。
投影のワークを通して、「子供の心」に気づく事や、「子供になる」練習が必要となります。
顔の表情の解放は
噛む、吸う、泣きじゃくる、しかめっ面をするなど
幼児期に押さえた衝動を解放することになります。
解放が起きるとトラウマ的な体験が想起することもしばしばあります。
しかし、表情の回復、及び解放の場合は
記憶を思い出す事よりも、抑えた感情を解放することが必要不可欠です。
幼児期以降、初めて穏やかで柔軟な表情を体験しリラックスを体験することです。
過去の制限に縛られず、世の中とコンタクトしその生きやすさ、心地よさを感じる事です。
その時、初めて自分の一部になっていた表情をどうするのか、どう付き合っていくのかを
考えていけば良いのです。