「わからない」にとどまることが道をひらく

2025.10.20

はじめに

セラピーの中でも日常の中でも、人はよく「わからない」と口にします。
多くの人はそれを「良くないこと」「停滞」と感じますが、実はそうではありません。
心理学や身体の仕組みから見ても、「わからない」は心と身体が深いレベルで動いているサインなのです。

■心の防衛としての「わからない」

フロイトは、つらい感情や記憶を心が無意識に押し込んでしまう仕組みを「抑圧」と呼びました。
それが意識に浮かび上がりそうになると、頭の中に霧がかかったようになり、「よくわからない」と感じることがあります。
これは弱さではなく、心があなたを守る自然な働きなのです。

ユングは一方で「わからない」は未知の自己との出会いだと考えました。
まだ意識化されていない部分が顔をのぞかせるとき、人は不安を感じます。
しかしその不安は、新しい可能性や成長への入り口でもあるのです。

わからないことは、避けたくなるものですが
このように「わからない」こと自体に向き合う事は、心の統合を深め、成長へと繋がっていくのです。

ゲシュタルト療法では、人の体験は「気づき → 行動 → 接触 → 完了」のサイクルで進むと考えます。


「わからない」と繰り返すときは、この流れがどこかで止まっているサインです。
そこには、まだ表現されていない感情や未完了の思いが眠っているのです。

■身体で起きていること

実は「わからない」と感じるとき、身体も同時に防御の姿勢をとっています。

・首や肩に力が入り、胸が固まる
・呼吸が浅くなり、胸だけで息をする
・横隔膜やお腹の動きが止まり、感情がせき止められる

これは身体心理療法で言う「筋防衛」と「呼吸の抑制」の働きです。

まるで身体が鎧をまとうように固まり、感情や声が流れなくなるのです。

しかし、その「わからない」に居とどまり、身体の感覚を感じていくと、次第に呼吸は変わっていきます。
胸がひらき、ため息や涙が出てくる。そこから、本当の感情が流れ出すことがあるのです。

■神経が育む安心

自律神経もまた「わからない」に影響しています。

交感神経が優位になると、焦りや過剰な思考が前に出て、考えがぐるぐるとし始めます。

背側迷走神経が優位になると、凍りついたように言葉や行動が止まり「わからない、、、」と沈黙していきます。

逆に、腹側迷走神経が働くと「わからないけど試してみよう」と落ち着いて探索できるわけです。

この腹側の「安心モード」を育むためには、姿勢と呼吸がとても大切です。
足裏を感じ、肩を落とし、ゆっくり息を吐く。
その小さな積み重ねが、神経に「ここにいて大丈夫」という信号を送り、安心を育んでいくのです。

■実際の現場で見られること

セラピーの中でプロセスが進むと、多くの方が「わからない」を繰り返すようになります。
これは停滞ではなく、無意識の防衛が強まる一方で、解放も始まっているせめぎあいのサインです。

このときに言葉だけで話を進めても、堂々巡りになります。
しかし「わからない」をそのまま感じていくと、やがて呼吸が変わり、涙や怒りといった感情が流れ出すことがあります。

注意したいのは、
身体だけを解放しても、一時的な発散に終わってしまい、心の深いテーマに触れることはできません。
また心だけに偏ると、身体の緊張が固定されたままになります。

並行していくのはかなり難しいものです。

しかし心と身体の両面を行き来することで、初めて本当の変化が起こるのです。

■ まとめ

「わからない」は、行き止まりではありません。
心が防衛を強め、身体が固まり、神経が揺れ動く中で、次の一歩が生まれようとしているサインです。

すぐに答えを求めるのではなく、わからない事にとどまり、身体の感覚を感じてみること。
そのとき、呼吸が変わり、感情が流れ、本当に腑に落ちる理解はやってきます。

「わからない」にとどまれる勇気こそ、新しい道をひらく鍵なのです。

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