ポリヴェーガル理論の実践(呼吸と感情のワーク)

2024.11.15

これまで理論や理屈について色々と書いてきましたが、

今回はいよいよ 最も肝心な“実践” の部分について書いていこうと思います。

ずばり、「sonomamaでは具体的に何をするのか?」というところです。

前回お話したように、理論というのは“理論の枠の中でのゲーム”に過ぎません。

知ることは、説明が出来るようになるというだけです。

体験のない知識は、かえって自分を苦しめる原因にもなります。

そのため、できるだけ“体験をイメージできる内容”としてお伝えしていきます。

■ ポリヴェーガル理論を知っても、安心は生まれない

ポリヴェーガル理論を学ぶと、トラウマや身体反応の意味がよく分かります。

ただし、セラピーは“対処療法”ではありません。

原因や構造が理解できたからと言って

「安心できる薬を出しましょう」「不安を抑える薬を出しましょう」

という方向には進みません。

セラピーは、体験を通して身体と心の機能を回復させていく場です。

■ sonomamaのボディワークは3つのプロセスで進みます

  1. 呼吸(感情)のワーク
  2. 筋肉(動き)のワーク
  3. 表情・声(コンタクト)のワーク

これらは胎生学の視点から発展したボディサイコセラピーの流れであり、同時にポリヴェーガル理論で説明される3つの神経反応にもしっかり対応しています。

理屈はいろいろありますが、結局やることは とてもシンプル です。

呼吸と感情のワーク

人は感情を抑え込むと、呼吸が浅くなり、お腹の奥まで動かなくなっていきます。

そんな時にまず行うのが「呼吸で内臓を動かす」 ということです。

ずっと怯えて止まってしまっていた身体に対して

「もう敵はいないよ」「起きていいよ」

と優しく声をかけるようなプロセスです。

呼吸への声かけを行ったり、身体に触れて

呼吸が自然に深くなっていくサポートをしていきます。

呼吸が通り始めると、それに合わせて“記憶”や“感情”も出てきますが、

受け止めきれない時に備えての “対処法” も同時に練習しておきます。


■ 背側モードから「動ける身体」へ

ポリヴェーガル理論で言えば、

このワークは 背側迷走神経系(凍り付き・シャットダウン状態) のまま動かなくなった内臓に働きかけ、

「交感神経起きて!」と呼びかける段階です。

“ちゃんと戦ったり逃げたりできる自分” に戻していくためのアプローチとも言えます。

すでに動けない人や、声が出ない人は、

身体の内部が“気絶したような状態” になっています。

この状態で言葉だけのカウンセリングをしても、

あまり意味がないことが多いのです。

最近は「頭では気づいているけれど、身体の中は停止している」という方がとても増えています。

地味に見えますが、この呼吸のプロセスは本当に大切です。

■ 不完全燃焼を残さないために

呼吸を長い間止めてきた人は、

ずっと “不完全燃焼” の状態です。

その結果、古い感情の “燃えカス” が体内を循環し続けてしまいます。

安易な癒しで一時的に良くなったように感じても、

不完全燃焼が残っていれば、必ず再発します。

だからこそ

最初に「呼吸と感情のワーク」をしっかりやることが何より大切なのです。

ここが整っていなければ、カウンセリングも心理療法もすべて中途半端になります。


試しに**「30秒吸って、30秒吐く」**をやってみてください。

あなたの身体は、ちゃんと機能していますか?

ぜひ一度、呼吸をチェックしてみてくださいね。

次回は筋肉と動きのワークについてです。

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