これまで理論や理屈について色々と書いてきましたが、
今回はいよいよ 最も肝心な“実践” の部分について書いていこうと思います。
ずばり、「sonomamaでは具体的に何をするのか?」というところです。
前回お話したように、理論というのは“理論の枠の中でのゲーム”に過ぎません。
知ることは、説明が出来るようになるというだけです。
体験のない知識は、かえって自分を苦しめる原因にもなります。
そのため、できるだけ“体験をイメージできる内容”としてお伝えしていきます。
■ ポリヴェーガル理論を知っても、安心は生まれない
ポリヴェーガル理論を学ぶと、トラウマや身体反応の意味がよく分かります。
ただし、セラピーは“対処療法”ではありません。
原因や構造が理解できたからと言って
「安心できる薬を出しましょう」「不安を抑える薬を出しましょう」
という方向には進みません。
セラピーは、体験を通して身体と心の機能を回復させていく場です。
■ sonomamaのボディワークは3つのプロセスで進みます
- 呼吸(感情)のワーク
- 筋肉(動き)のワーク
- 表情・声(コンタクト)のワーク
これらは胎生学の視点から発展したボディサイコセラピーの流れであり、同時にポリヴェーガル理論で説明される3つの神経反応にもしっかり対応しています。
理屈はいろいろありますが、結局やることは とてもシンプル です。
呼吸と感情のワーク
人は感情を抑え込むと、呼吸が浅くなり、お腹の奥まで動かなくなっていきます。
そんな時にまず行うのが「呼吸で内臓を動かす」 ということです。
ずっと怯えて止まってしまっていた身体に対して
「もう敵はいないよ」「起きていいよ」
と優しく声をかけるようなプロセスです。
呼吸への声かけを行ったり、身体に触れて
呼吸が自然に深くなっていくサポートをしていきます。
呼吸が通り始めると、それに合わせて“記憶”や“感情”も出てきますが、
受け止めきれない時に備えての “対処法” も同時に練習しておきます。

■ 背側モードから「動ける身体」へ
ポリヴェーガル理論で言えば、
このワークは 背側迷走神経系(凍り付き・シャットダウン状態) のまま動かなくなった内臓に働きかけ、
「交感神経起きて!」と呼びかける段階です。
“ちゃんと戦ったり逃げたりできる自分” に戻していくためのアプローチとも言えます。
すでに動けない人や、声が出ない人は、
身体の内部が“気絶したような状態” になっています。
この状態で言葉だけのカウンセリングをしても、
あまり意味がないことが多いのです。
最近は「頭では気づいているけれど、身体の中は停止している」という方がとても増えています。
地味に見えますが、この呼吸のプロセスは本当に大切です。
■ 不完全燃焼を残さないために
呼吸を長い間止めてきた人は、
ずっと “不完全燃焼” の状態です。
その結果、古い感情の “燃えカス” が体内を循環し続けてしまいます。
安易な癒しで一時的に良くなったように感じても、
不完全燃焼が残っていれば、必ず再発します。
だからこそ
最初に「呼吸と感情のワーク」をしっかりやることが何より大切なのです。
ここが整っていなければ、カウンセリングも心理療法もすべて中途半端になります。

試しに**「30秒吸って、30秒吐く」**をやってみてください。
あなたの身体は、ちゃんと機能していますか?
ぜひ一度、呼吸をチェックしてみてくださいね。

次回は筋肉と動きのワークについてです。

