五層一核と「本来の自己」

2024.10.07

~ゲシュタルト療法で見る感情表現の深層~

ゲシュタルト療法では、人の感情表現には表面から核心へと向かう5つの層があると考えます。
これを「五層一核」と呼びます。

それはまるで、自分の顔を隠すために重ねられた何枚ものフィルターや、
厚く塗られた化粧のようなものです。
一枚一枚をはがすごとに、より本来の自分に近づいていきます。

■感情表現の5つの層

表層から深層へと進む順番は次の通りです。

  1. 決まり文句の層
    表面的で安全なやり取り。常套句やマナーで感情を覆っている状態。

  2. 役割の層
    「会社員として」「母として」「〇〇家の一員として」など、社会的役割やラベルをまとった自己表現。

  3. 行き詰まりの層
    役割では解決できない違和感や停滞感が現れるが、感情はまだ動かない。

  4. 内破の層
    外に出せない感情が内側に溜まり、沈黙や身体の緊張として現れる段階。

  5. 外破の層
    抑え込んできた感情が外へあふれ、解放とともに大きな変化が起こる段階。

そしてこの外破の層の先にあるのが、真の自己(核)です。

■真の自己に触れる意味

真の自己に触れることは、自分の原初的な欲求を感じ、それをもとに人生を選び取ることです。
これこそが人間としての成長・成熟であり、セラピーの大きな目的なのです。

しかし、他者からの評価が重視される社会では、成長の意味が「役割の層」で滞りがちです。

  • ・会社での肩書きや能力
    ・貯蓄額や年収
    ・母として、妻としての評価
    ・家系の中での立場

こうしたラベルを成長の証と信じ、そこに努力を注ぐほど、深い感情表現からは遠ざかります。
結果として行き詰まりや内破、外破へと進めず、本来の自己に触れられないまま生きることになります。

■「死の層」と呼ばれる理由

この層の中間領域(行き詰まり、内破)は死の層とも呼ばれます。
長く役割を生きてきた人にとって、そのラベルを外すことは大きな恐怖を伴うからです。
化粧や加工された姿を自分だと思い込み、すっぴんになることを避ける心理に似ています。
セラピーの現場でも、本当に行き詰まったように言葉が出なくなる段階がこれです。

■なぜあえて恐怖に向かうのか

では、なぜわざわざ恐怖を伴う層に入る必要があるのでしょうか。
それは多くの人が、どこかでラベルのない自分の心地よさを知っているからです。

  • ・休日に羽目を外す
    ・自宅でくつろぐときのすっぴんの自分
    ・小さな子どもと接しているときの無邪気さ

現実では役割の自分が努力を続けていても、心の奥にはラベルのない自分への憧れが残っているはずです。
この「役割と本音の間の葛藤」こそが苦しさの正体です。


■セラピーの目的

セラピーでは、自分の行動が深い感情表現から自然に起こることを目指します。
フィルムを外し、化粧を落とし、すっぴんの自分に戻ってやり直す作業です。

稀に真の自己に触れる過程で胎児期の記憶や感覚が現れる人もいます。
これはバーストラウマと呼ばれる領域であり、自然なプロセスの一部です。

■アプローチ

sonomamaでは、ゲシュタルト療法、身体心理療法、フェルデンクライス・メソッドなどを組み合わせ、
安全に「死の層」へ入りやすくするサポートを行っていきます。
役割のない自分とは何なのか、一度ゆっくり感じてみることをお勧めします。

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