
考えすぎて不安になる、頭では分かっているのに変われない。
そんな人に向けて、ゲシュタルト療法の視点から「思考と身体」の関係と、感じる力を取り戻す方法を解説します。
◾️現代人は、考えることを信じすぎている
現代人は、考えすぎている。
いや、正確には、考えることだけが正しいと信じすぎている。
整理する。
意味づける。
分析する。
答えを出す。
不安を消す。
そんなふうに、頭の中で人生を片づけようとする。
しかも、それが成熟であり、賢さであり、社会的にちゃんとしていることだと教え込まれている。
でも、よく見ればおかしい。
考えることで不安が生まれ、
その不安を打ち消すために、また別の考えを持ち出して安心しようとする。
そして少し落ち着いたら、また次の不安を考え始める。
自分で火をつけて、自分で消す。
マッチポンプ。
人間は頭の中で、これを延々とやっている。
◾️「考えすぎ」がやめられない理由
ゲシュタルトなどのセラピーでは、こうしたあり方に対して、
考えることそのものをやめろとは言いません。
けれど、思考だけに偏った生き方から、
身体感覚や五感のある現実へ戻ってくることを大切にします。
なぜなら、人は頭の中だけでは生きていないからです。
◾️身体には、その人の現実が現れている
胸がつまる。
喉が詰まる。
呼吸が浅くなる。
腹が固まる。
足が地面から浮く。
落ち着かない。
ざわざわする。
でも、理由は分からない。
こういうものの中に、その人の現実があります。
にもかかわらず、私たちはそれを感じる前に、すぐ意味づけに走る。
「なぜだろう」
「どうすればいいんだろう」
「ちゃんとしないと」
「考えを整理しよう」
「前向きに捉えよう」
そうやって、感じる前に処理してしまう。
しかし、処理された感情は、終わった感情ではありません。
ただ、頭の上で一時保留にされただけです。
◾️セラピーで見るのは思考の内容ではない
セラピーでは、対話をしていきますが、
答えを出して安心するためではありません。
整理して、「なるほど」と言って終わるためでもありません。
むしろ逆です。
人がどう考えているかだけでなく、
考えることで何を避けているのかを見る。
そこが大切です。
どんなときに思考が始まるのか。
考え始めると身体はどうなるのか。
考えることは、その人にとって何を守っているのか。
何を感じなくて済ませているのか。
思考の「内容」ではなく、
思考するという行為そのものを見ていく。
◾️近代人は、感じるより処理するようになった
ハイデガーは、近代以降の人間が世界をどう扱ってきたかを問題にしました。
世界を「前に置き」、把握し、管理し、処理するもの。
そういう構えが近代人の基本姿勢になったと言います。
これはそのまま、現代の私たちの生き方に重なります。
私たちは本来、世界の一部として生きているはずです。
しかし気づけば、世界の外側に立って、
それを理解し、整理し、コントロールできるかのように振る舞っている。
◾️結果、人は苦しくなる
その結果、何が起きるのか。
世界を感じることより、世界を処理することのほうが大事になる。
生きることより、うまくやることのほうが大事になる。
自然の一部として存在することより、社会の中で機能することのほうが大事になる。
そして、だんだん苦しくなる。
当然です。
人間は機械ではないからです。
どれだけ頭で納得しても、
身体が置いていかれていれば、人は回復しません。
◾️「感じること」が回復の入口になる
だから、必要なのは
さらに上手に考えることではなく、
感じることへ戻ることです。
今、自分は何を感じているのか。
身体はどうなっているのか。
この場をどう受け取っているのか。
本当は、何が怖いのか。
何を止めているのか。
何が起きようとしているのか。
感じることは、曖昧で非合理なことではありません。
それは、頭の中の仮想世界から降りてきて、
自分が本当に生きている現実に触れ直すことです。
◾️人が作った世界だけが、世界の全部ではない
私たちは、人が作った世界について語りすぎています。
社会、役割、評価、正しさ、効率、成功、将来。
でも、それらは世界の全部ではありません。
風の感触。
季節の移ろい。
太陽の光。
疲れている身体。
安心するとゆるむ胸。
怖さに触れたときに止まる呼吸。
誰かと一緒にいて、少しだけほどける感じ。
こうしたものもまた、現実です。
むしろ、こちらのほうが土台です。
◾️考えるな、ではない
世界はもっと広い。
人間社会より広い。
思考より広い。
言葉より広い。
考えるな、ではない。
ただ、考えることだけで生きるな、ということです。
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