
このテーマは、実際の臨床の現場でも 最も重要なテーマのひとつ だと感じています。
個人の性格や、悩み、苦しさは、その人が生きてきた歴史です。
そして、その歴史の根源には、親や家族との関わりが深く関係しています。
心理的、身体的な探求を進めることももちろん意味がありますが、
現実的には、親や家族とのリアルな関係の中に触れていくことがほとんどです。
「子どもを幸せにしたい」と願っていても、
無意識のうちに、自分が育ってきた歴史の影響が子育てに現れてしまうのです。
■ 幼少期に残った“感覚”

「私は子どものころ、十分に愛されなかった」
「親に気持ちをわかってもらえなかった」
こうした体験は、記憶だけでなく 心や体に染みついた感覚 として残ります。
胸の締めつけ、喉のつまる感じ、呼吸の浅さ…。
忘れたつもりでも、その時の「愛されなかった感覚」は今も生きているのです。
■ 投影とすれ違い

だからこそ、子育ての中で子どもが自由に振る舞うと、
奥に眠っていた「私は許されなかった」という感覚が刺激されます。
- 子どもがわがままを言うと、思わず力が入る
- 子どもが距離を取りたがると、胸の奥が寂しくなる
「子どもを幸せにしたい」と願っているのに、反応しているのは過去の痛み。
その結果、子どもの自然な姿が“わがまま”や“身勝手”に見えてしまうのです。
■ 親の抑圧が強まると

親が自分の感情や弱さを抑え込んでいると、無意識にそのしわ寄せが子どもへ向かいます。
- 子どもの行動を細かく修正・コントロールしてしまう
- 親自身の抑えた感情を子どもに投げ込む
- 子どもに「過度に子どもっぽく」振る舞わせたり、逆に「過度に真面目に」させたりする
こうして子どもの自由は奪われ、子どもは無意識に「親の人生」を背負わされてしまいます。
■ 子どもに現れる「症状」

子どもは直接「嫌だ」とは言えません。
その代わりに、症状という形でサインを出します。
- 学校に行けなくなる
- 体の不調が続く
- 強い不安やこだわりが出る
- 友だちや先生との関係にトラブルを抱える
それは「困った問題」ではなく、
「ここに気づいてほしい」という心からのメッセージなのです。
■ セラピーの場で起こること

そんな時、子どもがセラピーに来ることがあります。
セラピーの中で、子ども自身が「自分の感じていること」に少しずつ気づき始めます。
そして、やがて親も「子どもの症状は、自分の中の抑えた感情の反映だった」と気づき始めます。
「子どもを変えたい」と思っていた親が、
「実は自分が向き合う必要があった」と理解する瞬間。
ここから、本当の意味での回復が始まります。
■ 結局、何が起こるのか
親が自分の未完了の痛みを処理できずに子どもへ投影すると、
子どもは無意識に親の人生を背負ってしまいます。
それは自分自身の人生ではなく、
親の悲しみや満たされなかった思いを繰り返すように生きてしまう苦しさです。
けれど、親が勇気を持って自分の痛みと向き合い、
少しずつ抱え、処理していくことで、幸せを取り戻す道へと繋がっていくのです。
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