元々は無かったものを思い出す 〜空(くう)の感覚から考える〜

2024.12.26

今、あなたは何に悩み、何に苦しんでいるでしょうか。

私たちの苦しみは、多くの場合
「何かと比べてしまうこと」から生まれてきます。

他人と比べ、
過去の自分と比べ、
理想の自分と比べる。

その“比べる視点”は一見当然のように思えますが、
実は「後から作られた自分」を基準にして生きている状態でもあります。

比べることで得た喜びは、
同時に「失う不安」を生み出します。
勝つことは「負ける恐怖」を生み出します。

そして気づかないうちに、
「こうあるべき」というイメージに縛られながら毎日を生きてしまいます。

しかし、この “こうあるべき自分” は
本来のあなたの姿でしょうか?

仏教ではこのような「後から作られた実体のないもの」を
「空(くう)」という言葉で表現します。

“空”とは「何も無い」という意味ではありません。
固まった実体が無いからこそ、自由に変わることができるという智慧です。

だからこそ、苦しい時は
「何かになろうとしている自分」を
そっと脇に置いてみてください。

脇に置いた自分を、
「元々無かったもの」として
少し離れた場所から眺めてみるのです。

その時に現れてくるのは、
何も持たなくても幸せを感じられる
“元のあなた”の姿です。

そこには
失う不安も、
負ける恐怖もありません。

“空” の視点に立ち返った時、
あなたは初めて 「今ここ」 の自由を取り戻します。

一度すべてを脇に置いてみたうえで、
〝今の自分にとって本当に大切なもの〟だけを
もう一度、静かに拾い上げてみてください。

その時に選び直したものこそが、
あなたにとって本当に意味のある悩みであり、
あなたを成長させてくれる問いになります。

「元々無かった」

これは、シンプルでありながら
私たちを自由にしてくれる
とても大切な魔法の言葉です。

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