■ トラウマは「心」だけのものではない
トラウマはしばしば「心の傷」と表現されます。
つらい記憶、忘れられない出来事、考えるだけで胸が苦しくなる体験。
そうしたものとして理解されることが多いでしょう。
もちろんそれは間違いではありません。
しかし、臨床の現場に立ち続けていると、
トラウマは「心」だけの問題ではない、という事実に何度も立ち会います。
トラウマは、神経系や身体感覚に深く刻まれ、
いまこの瞬間の反応として生き続けているものです。
頭ではもう終わったはずの出来事が、
なぜか身体だけが終わっていない。
そんな感覚を抱えている人は、決して少なくありません。
■ 身体が覚えている反応
トラウマ研究の分野では、
「トラウマは過去の出来事そのものではなく、
身体が覚えている反応である」という理解が広がっています。
それは、記憶というよりも、
条件づけられた反応に近いものです。
たとえば、
・何気ない音や言葉に、強く驚いてしまう
・人前で話そうとすると、胸が締めつけられる
・理由はわからないのに、息が止まりそうになる
・安心したい場面なのに、身体がこわばる
こうした反応は、
「もう大丈夫だ」と頭では理解していても起こります。
なぜなら、身体はまだ「危険だった頃」を生きているからです。
トラウマとは、
過去の出来事が思い出されることではなく、
過去に適応するためにつくられた反応が、
いまも自動的に作動してしまう状態なのです。
■ 神経生理学が教えてくれること
近年の神経生理学の研究は、
トラウマが自律神経系と深く関係していることを示しています。
私たちの身体には、
危険にさらされたときに自動的に働く反応があります。
・闘う
・逃げる
・凍りつく
これらは本来、
生き延びるために備わった正常な反応です。
しかし、強いストレスや恐怖の中で
これらの反応が「完了しないまま」残ると、
神経系はその状態を学習してしまいます。
すると、実際には危険ではない場面でも、
同じ反応が繰り返し起こるようになります。
私はよく、神経回路を「川の流れ」にたとえて伝えます。
一度できた川筋には、
自然と水が流れていきます。
水がどれだけ新しくなっても、
流れつく場所はいつも同じです。
同じように、
身体も一度できた反応パターンに沿って
自動的に反応してしまうのです。
これは意志の弱さでも、
性格の問題でもありません。
それだけ必死に生き延びてきた、
身体の知恵なのです。
■ トラウマは「特別な出来事」だけではない
トラウマという言葉から、
大きな事故や災害、強烈な体験を想像する人も多いでしょう。
しかし、実際の臨床では、
トラウマはもっと日常的な形で存在しています。
・安心できなかった家庭環境
・感情を出すことが許されなかった関係
・繰り返し無視された体験
・助けを求められなかった孤独
出来事の「大きさ」ではなく、
その人にとってどれほど安全が脅かされたか。
それが、トラウマかどうかを決めます。
だから同じ出来事でも、
ある人にとっては問題なく、
別の人にとっては深く身体に残ることがあるのです。
■ セラピーの場で起きていること
sonomamaでも、
セラピーを通して身体に残っていたトラウマと出会うことは日常です。
胸が締めつけられる。
喉が塞がる。
息が浅くなる。
その感覚の奥から出てくるのは、
「母への怒り」だったり、
「父への恐怖」だったりします。
頭ではもう理解している。
許したつもりでいる。
終わった話だと思っている。
それでも身体は、
まだ手放していない。
ワークの中では、
言葉よりも先に身体が声をあげ始めます。
・呼吸が浅くなる
・足先が冷たくなる
・腰や背中が重くなる
・声が出にくくなる
それらは「症状」ではなく、身体からのメッセージです。
言葉よりも先に、身体が語りはじめるのです。
■ sonomamaのセラピーが大切にしていること
sonomamaのセラピーで大切にしているのは、
感情を無理に解放させることではありません。
大切にしているのは、次のことです。
・安心できる関係と場をつくること
・微細な身体の反応に気づくこと
・感情と感覚を「今ここ」で安全に扱うこと
避けたい感覚を、
無理に乗り越える必要はありません。
むしろ、
「避けたくなるほど大切な感覚だった」
という理解の中で、
その感覚と一緒に居られる時間を育てていきます。
安全の中で、
ほんの少しだけ留まる。それを何度も繰り返す。
そこから、
新しい神経回路が少しずつ芽生えていきます。
■ 回復とは「消すこと」ではない
トラウマの回復は、
何かを消すことでも、
忘れることでもありません。
反応が出ても、
戻ってこられる力が育つこと。
怖さが出ても、
ひとりで抱え込まなくていいと身体が知ること。
それが回復です。
そのためには、
言葉だけでなく、
身体を媒介にしたアプローチが欠かせません。
・呼吸や小さな動きから身体感覚を取り戻す
・マインドフルに「今ここ」の安全を感じる
・声やエネルギーを少しずつ外に出す
・言葉と身体体験をゆっくり統合する
こうした小さなプロセスの積み重ねが、
過去の鎖をほどいていきます。
■ 「もう演じなくていい」
僕がセッションの中で、
よく伝える言葉があります。
「今は、何かを演じなくてもいいですよ。」
ちゃんとしていなくていい。
わかったふりをしなくていい。
前向きでいようとしなくていい。
これはクライアントに向けた言葉であると同時に、
過去の自分自身にも向けている言葉です。
身体に刻まれた記憶を、
ひとつずつ解きながら、自分らしく生きていく。
そのプロセスを支えるのが、
sonomamaのセラピーだと信じています。
■ あなたの身体は、すでに知っている
回復は、
外から与えられるものではありません。
あなたの身体は、
すでに回復への道を知っています。
ただ、
その声を聴く時間と、
安全な関係が必要なだけです。
特別な誰かだけが回復するのではありません。
誰の身体にも、
生き延び、立て直す力があります。
その力と、
もう一度つながっていく。
sonomamaは、
そのための「場」でありたいと思っています。
salonSonomama は、カウンセリングを中心に心身の不調の軽減を目指す、セラピールームです。
薬を使わず、心と向き合うことで心身の回復を促します。
当サロンはJR島本駅より徒歩10分の立地にございます。
完全予約制で、対面以外にもオンラインにも対応しております。
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