再発しないために -カウンセリング・ゲシュタルト療法・身体心理療法・トランスパーソナル -

2025.08.10

心理的な支援は、同じ“話す”でもどの層に働きかけるかで、変化の深さや持続性が変わります。

ケン・ウィルバーが提唱する意識スペクトルで見れば、
表層の理性から感情、自我、そして原初的な身体反応、さらにその先の超個人な領域までの層があります。

このどこにアプローチをするのかが再発防止のカギ
なのです。
 


■カウンセリング(表層・理性の層)

これは、安心できる場で話し、共感や質問を通して思考や感情を整理します。
一時的には気分が軽くなり、混乱も収まりますが、
ここで注意したいのが”躁的防衛”です。

躁的防衛とは

躁的防衛は、クライン派の精神分析で特に強調された防衛機制の一つで、
つらさ・不安・無力感といった感情を直接感じないために、意識を高揚状態に保つ心理的メカニズムです。

特徴としては、

  • ・過剰なポジティブ思考

  • ・活動量や社交性の急な増加

  • ・冗談や軽口で深刻なテーマを避ける

  • ・問題を「もう解決した」と早合点するなどです。
    この防衛は短期的には救いになりますが、感情の根本処理を回避するため、症状や反応パターンが温存されてしまいます。

そのため、ストレスや対人関係の刺激で同じ問題が浮上しやすく、再発防止力は限定的です。

  • 自我療法は「自我機能を強化し、判断力・対人スキルなどを高める」ことを目的としてます。
    これ自体は有効ですが、抑圧された感情やトラウマに触れずに表面の機能だけを鍛えると、

    • 内面の未処理感情が温存され

      ・「できる自分」というイメージで防衛したり
      ・感情的な落ち込みを避けるために、常に活動・達成・思考優位に走る事になるのです。

    結果として、痛みの回避や過剰な活動、万能感のために努力するループに陥ります。

■ゲシュタルト療法(感情、自我の層)

「いま・ここ」での感情や身体感覚に注意を向け、未完了の感情をその場で完結させていきます。
これは自我(パーソナル)と原初的な感情・身体感覚(プレパーソナル)の境界に働きかける方法です。
感情パターンが変わることで再発リスクは随分減りますが、身体奥深くに残る防衛パターンが解放されない限り、再燃の可能性が残ります。

■身体心理療法(原初的な身体反応の層)

呼吸、筋肉の慢性的緊張、自律神経のパターンといった原初的な層に直接アプローチします。
動きや姿勢、呼吸法を通じて、身体に刻まれたトラウマ反応を解放し、神経系の自己調整力を回復させます。
この層で変容が起こると、反応パターンそのものが変わるため、強いストレスに直面しても再発しにくい安定した変化が期待できます。

■トランスパーソナル(超個的な層)

意識のスペクトルには、個人や身体を超えたトランスパーソナルな領域もあります。
瞑想やスピリチュアルな実践は、この層に触れ、人生や存在そのものの意味づけに変化をもたらすのです。

しかし、深層(プレパーソナル〜パーソナル)の統合が不十分なままこの領域に入ると、
ユングが警告する”自我肥大”や仏教で言われる”魔境”の世界に陥るリスクが高まります。

自我肥大とは

心理的な成長やスピリチュアルな体験を通じて、本来は自己や世界とのつながりを深めるはずが、
かえって「自分は特別」「自分は真理を知っている」という感覚が過剰に膨れ上がる状態です。

特徴としては、

  • ・優越感や絶対的確信

  • ・異なる価値観を受け入れられない批判的態度

  • ・他者との孤立

  • ・誇大感と現実感の喪失

    などが挙げられます。魔境も同じような概念です。
    特別な体験に執着し逆に迷走してしまうのです。

これらは、不安や劣等感を感じないための躁的防衛としても働くことになります。
超個的体験を「特別な自分の証明」と誤解してしまうと、現実適応や人間関係に支障をきたす可能性もあります。

健全な成長との違い

項目 自我肥大 健全な成長
自己評価 誇大・絶対視 柔軟・現実的
他者との関係 優越感・排他 尊重・共感
体験の意味づけ 「特別な自分」の証明 「他者や世界とのつながり」の深化
防衛機制 躁的防衛、投影 統合、受容

予防のポイント

  • ・順に統合を進める(グラウンディングで地に足を着く・自我、感情の統合)

  • ・安全な関係性で体験的に検証を行う(神経系の反応・トラウマ反応)

  • ・体験を日常生活に落とし込む(日常で変化の実感)

    なにより焦らない事が必要です。

■なぜゲシュタルトや身体心理療法を扱うのか

私がゲシュタルト療法や身体心理療法を重視するのは、上記で述べた様に
この領域が、最も実存的で、再発が少なく、生きやすくなるためです。
思考整理だけでなく、感情の統合、身体に刻まれた原初的反応の解放まで含めることで、
「同じパターンを繰り返す生き方」から抜け出し、現実にしなやかに向き合える基盤を築くことができるのです。

salon Sonomama は、カウンセリングを中心に心身の不調の軽減を目指す、セラピールームです。
薬を使わず、心と向き合うことで心身の回復を促します。

当サロンは阪急水瀬駅より徒歩10分の立地にございます。
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