「身体はコントロールされるものではない。関係を結び直すものだ。」
— アレクサンダー・ローエン最近、「感情をコントロールする」「身体を思い通りに扱う」という言葉を、あちこちで耳にします。
けれど、そこにどうしても拭えない違和感があります。そもそも、感情や身体は本当にコントロールできるのでしょうか。
◾️身体や感情は、そもそもコントロールできない
怒りを「感じるな」と命令して、消せるでしょうか。
悲しみや恐怖を「出るな」と押さえつけて、本当になくなるでしょうか。感情は、自律神経やホルモン、過去の記憶と結びついて、勝手に立ち上がってくる現象です。
意志の力で、スイッチのようにON/OFFできるものではありません。ここがまず、
「コントロールできる」という前提そのものが成り立たない理由です。できるのは「出す・抑える」の調整だけ
ただし、一つだけできることがあります。
それは、出すか、抑えるかの「調整」です。イメージとしては、
感情そのものを消すスイッチではなく、
ラジオのボリュームのつまみのようなもの。今は少し上げる。
今は少し下げる。
完全に消さず、聞こえる程度にする。この調整は可能です。
◾️調整には「上げる力」と「下げる力」が必要
ここで大事なのは、
下げることだけが調整ではない、という点です。ボリュームを下げるには、
一度は上げられる力が必要です。怒りを出せない人は、
実は「抑える」のではなく、
最初から上げる力を失っていることが多い。悲しみを感じられない人も同じです。
感じないのではなく、
感じる回路が細くなっているだけ。本当の調整とは、
上げることも、下げることも、
どちらも選べる状態を取り戻すことです。◾️感情を軽視しすぎた現代社会
ところが現代は、
感情を感じることよりも、
排除することに力を注ぎすぎているように感じます。怒るな。
泣くな。
怖がるな。
感じる前に、整えろ。こうしたメッセージの積み重ねは、
身体や感情との関係を断ち切るための
「コントロール」を強化していきます。それは、
人が人として生きるための感覚を手放し、
社会的に都合のいい“機械”になろうとする動きにも見えます。◾️「コントロール可能!」という幻想が生む苦しさ
そんな中で、
「もっと鍛えればコントロールできる」
「訓練すれば感情は支配できる」
と言われ続けると、どうなるでしょうか。できない自分を責める。
感じてしまう自分を否定する。
さらに力で抑え込もうとする。結果、楽になるどころか、
自分を苦しめる構造が強化されていきます。これが、私が感じている違和感の正体です。
◾️必要なのは、コントロールではなく関係を結び直すこと
ローエンの言葉が示しているのは、
身体を思い通りに扱うことではありません。身体や感情と、
もう一度、関係を結び直すこと。排除するのでも、支配するのでもなく、
聴くこと。
応答すること。
選び直せる余地を取り戻すこと。身体は、敵ではありません。
あなたを困らせる存在でもありません。それは、これまであなたを守り、
生き延びさせてきたパートナーです。コントロールしようとするのをやめたとき、
身体との本当の対話が、ようやく始まります。salon sonomamaでは、身体心理療法・ゲシュタルト療法をベースに、安心の場で身体や感情を扱うセッションを行っています。
完全予約制で、対面以外にもオンラインにも対応しております。
お気軽にご相談くださいませ。
お知らせ

