はじめに
私は過去十数年間、障害や診断名を持つ方々が通う現場で、向精神薬の投薬や直接支援に携わってきました。
その経験を基盤に、現在はカウンセラーとして心理療法を使ったケアを行うセラピールームを運営しています。
当時は、障害や診断名に特化した「当てはめ支援」が推奨されすぎている現状に強い違和感を覚えていました。
その話も重要ですが、今回は脇に置き、近年急激に増えている向精神薬の使用について、私が現場で見てきた事実をお伝えします。
■心理療法は脇役ではない
まず知っていただきたいのは、心理療法は決して脇役ではないということです。
世界保健機関(WHO)の診断・治療指針では、心理療法は精神疾患における第一の治療法とされています。
重度の場合に限り、薬物療法との併用が可能という位置づけなのです。
しかし、日本では心理療法の認知度が低く、一次選択として薬物療法が選ばれやすい傾向があります。
睡眠導入剤を風邪薬感覚で服用する方や、腰痛治療で抗うつ薬(サインバルタ)が処方されても気にしない方、
未就学児に覚醒作用のある薬(コンサータ)が投与されるケースが普通にあるのです。
薬の世界とその現実
私が関わった100名以上の方障害者、精神疾患者のほぼ全員が薬を服用していました。
確かに薬は症状を鎮静させる一時的な効果はありますが、
長年の投薬によって「治った」と言える方や、投薬が完全に終了した方は一人もいませんでした。
精神疾患に「完治」は存在せず、寛解という言葉で表現されます。
学ぶと気づく事ですが、診断も治療も多くは「仮説」に基づいており、原因が完全に解明されているわけではありません。
それでも薬は一次選択として用いられ、現場では「落ち着かせるため」という理由で頻繁に投与されていました。
本人の生活と乖離した処方
中でも驚いたのは、本人の生活をよく知らない医師が、外部からの報告だけで薬を増減させることが出来る現実です。
薬が効きすぎて日中動けない人もいれば、薬が切れる不安で生活が制限されてしまう人もいました。
薬は耐性がつけば量が増え、やがて「これ以上は出せない」という限界に達します。
副作用の重さ
実際問題になるのは、効き目よりも副作用だと感じました。
向精神薬は副作用の種類と発生率が高く、中には「精神症状の悪化」「自殺企図のリスク」「突然死」などが記載されている薬もあります。
また、薬が中枢神経に作用すると感情と身体感覚のつながりが鈍くなり、セラピーの効果が出にくくなります。
鎮静しているだけの状態では、その人本来の声や表情が見えなくなるのが現実です。
本当の原因は薬では消えない
ある方は夜間の不安から活動的になり、しばらくは頓服で抑えていましたが、効き目が弱まると薬に抵抗するかのように外へ出てしまい、感情の起伏も激化。
その方は最終的には入院生活になりました。
どれだけ鎮静しても、本人の奥にある本当の動機や感情は消えません。むしろ薬で押し込まれた感情は、別の形で噴き出してくるのです。
とても印象的なケースでした。
対処療法と根本療法
私の結論はシンプルです。
薬は対処療法。心理療法は根本療法のようなもの。
医学モデルは症状を「取り除く対象」として捉えますが、心理療法はその症状が何を意味するのかを探り、成長のきっかけとして扱います。
鎮静は必要な時に効果的ですが、根本的な癒しや成長を遅らせることもあります。
フロイトが言ったように、「今の悩みをありきたりな悩みに変え、不幸に立ち向かう力をつける」ことが、本来の自然な回復です。
おわりに
先日、中学時代の友人が亡くなったという連絡を受けました。
精神疾患で入退院を繰り返していたことは知っていましたが、その後の様子はわからず、多くの想いが去来しました。
これまで関わった数多くの方々の顔が浮かび、改めてセラピーの原点に立ち返りました。
心のケアは未来の人生を築く場です。
安易に鎮静だけを求めるのではなく、本当の意味で寄り添ってくれる場所を探し、自分の人生を取り戻してほしいのです。
salon Sonomama は、カウンセリングを中心に心身の不調の軽減を目指す、セラピールームです。
薬を使わず、心と向き合うことで心身の回復を促します。
当サロンは阪急水瀬駅より徒歩10分の立地にございます。
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