―プレパーソナルとトランスパーソナルの「混同」―
近年、スピリチュアル、自己探求、瞑想、自己啓発、エネルギーワークなどに長く取り組む人が増えています。
それ自体は悪いことではありません。
実際に、生きづらさが軽減したり、視野が広がったり、自分を見つめ直すきっかけになることもあります。
しかし一方で、長年探求を続けているにも関わらず、
人間関係のパターンが変わらず、慢性的な不安感が残ったり、
「自分探し」に埋没し、理解は深まるのに、生きる感覚は変わらない、という事態も起こっています。
興味深いのは、多くの場合、その人自身もどこかでそれに気づいているということです。
「知識は増えた」
「理解は深まった」
しかし、
“人生の深い部分は、なぜか変わっていない”。
にも関わらず、探求を続けてしまう。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
この問題について、トランスパーソナル心理学の思想家ケン・ウィルバーは、非常に重要な指摘をしています。
それが、
「プレパーソナルとトランスパーソナルの混同」
という問題です。
簡単に言えば、
“人格を超えているように見える状態”には、
実は二種類あるということです。
一つは、人格形成や自己統合が十分に育つ前の、未成熟で未分化な状態。
もう一つは、人格形成や統合を経た上で、その先へ開かれていく成熟した超越状態です。
しかし、この二つは外側から見ると、非常によく似て見えることがあります。
例えば、
「手放す」
「委ねる」
「 自我を超える」
「あるがまま」
「空になる」
こうした言葉は、本来深い意味を持っています。
しかし実際には、
・境界線を持てない
・怒れない
・自己感覚が弱い
・依存性が強い
・対人不安が強い
・身体感覚が希薄
そうした未統合の状態が、
「執着がない」
「精神性が高い」
「 薄い」
と誤認されることがあります。
つまり、本当は“超えている”のではなく、
“まだ十分に形成されていない”
だけ、というケースです。
これは、非常に重要な問題です。
なぜなら、本人は「成長している」「覚醒に向かっている」と感じているため、根本的な課題へ向き合う必要性に気づきにくくなるからです。
本当は、
怒りを感じられない。
境界線を引けない。
身体感覚が弱い。
他者との関係で萎縮してしまう。
深い孤独感を抱えている。
しかし、それらが、
「執着がない」
「 エゴが少ない」
「精神性が高い」
という言葉によって覆い隠されてしまう。
すると、探求は深まるどころか、むしろ現実との接触を弱めていくことがあります。
禅でも昔から、この問題に近いものが知られていました。
修行中の特殊体験や高揚感、一体感などに囚われてしまう状態を、
「魔境」
と呼びます。
強い静寂。
深い一体感。
特別な感覚。
意識の拡張感。
それ自体は起こり得る。
しかし、そこへ自己同一化し、
「自分は特別な段階に来た」
と思い始めると、むしろ現実との接触が弱くなっていくのです。
そして皮肉なことに、
身体、
感情、
人間関係、
日常生活、
そうした“現実そのもの”ほど置き去りになっていくことがあります。
本当に統合が進んでいるなら、
身体感覚はむしろ鮮明になり、
境界線は明確になり、
現実との接触は深まり、
人間関係は具体的に変化していくはずです。
逆に、
概念だけが増える。
言葉だけが高度化する。
しかし現実は変わらない。
この時は、
“上に飛んでいるだけ”
ということも少なくありません。
だからこそsonomamaワークでは、
「高次の理解」や「気づき」
だけをゴールにしません。
むしろ重要視するのは、
“今、身体で何が起きているのか”
です。
呼吸は浅くなっていないか。
喉は詰まっていないか。
腹部は固まっていないか。
本当は怒っていないか。
怖がっていないか。
寂しさを飛び越えていないか。
つまり、
“超越する前に、まず接地(グラウンディング)する”
ということです。
本当の変容とは、概念の変化ではなく、
身体、
感情、
人格、
関係性、
それらが統合されて初めて、生き方そのものが変わり始めます。
そしてその時初めて、
“どこかへ到達し続ける探求”
ではなく、
「今ここに、自分として存在できる」
という、本質的な変化が起こり始めるのです。
salon sonomamaでは、
身体・心・神経への統合的なアプローチを通して、“幸せを感じる感度”を育てていくセッションを行っています。
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