
人格の三層構造と、現代人の抑圧構造
現代人の苦悩を考える際、非常によく見られる現象があります。
それは、
「頭では分かっているのに変われない」
という現象です。
例えば、
・休んだ方がいいことは分かっている
・人に合わせすぎていることも分かっている
・もっと自分を出した方がいいことも分かっている
・不安になりすぎていることも理解している
しかし、それでも変われない。
これは、単に「意志が弱い」という問題なのではありません。
ボディサイコセラピー(身体心理療法)では、人間の人格を、単なる「思考」だけのものとして見ません。
人格とは、より立体的な構造を持ったものとして理解されます。
例えば、非常に単純化すると、
「マスク(仮面)」
「シャドウ(影)」
「コア(核)」
という三層構造です。
まず、最も外側にあるのが「マスク」の層です。
これは、社会適応のための人格です。
空気を読む。
嫌われないようにする。
期待に応える。
ちゃんとしている。
感情を抑える。
つまり、「社会の中で生き延びるための自己」です。
現代社会では、多くの人が、この層を「自分自身」だと思い込んでいます。
しかし実際には、それは本質的自己というより、「環境適応の結果として形成された人格構造」です。
その下には、「シャドウ」の層があります。
ここには、抑圧された感情や欲動があります。
怒り。
恐怖。
寂しさ。
依存欲求。
性的エネルギー。
絶望感。
本当は心の奥で感じていたものです。
しかし、それを感じることが危険な時
抑圧された、今や見たくもない感情です。
そして重要なのは、この抑圧は、「頭の中」だけで行われるのではないということです。
身体そのものが防衛化していくのです。
怒りを止めれば、顎が固まる。
泣くことを止めれば、胸や喉が閉じる。
恐怖を抑えれば、腹部や脚が緊張する。
つまり、身体とは、単なる肉体ではなく、
「抑圧の歴史」でもあるということです。
実際、現代社会において問題なのは、この「マスク」の層だけが肥大化していることです。
学校教育。
会社組織。
SNS。
日本社会特有の同調圧力。
これらは、すべて「社会適応人格」を強化する方向に働きます。
そのため、人は次第に、
「何を感じているか」
ではなく、
「どう見られるか」
によって自己を構成するようになります。
つまり、
“生きる”のではなく、
“演じる”ようになるということです。
そこに、自己啓発的な情報が入るとどうなるでしょうか。
「もっと行動しろ」
「変われ」
「ポジティブになれ」
「夢を叶えろ」
しかし、これは、マスクに向かって語りかけているだけなのです。
その下にあるシャドウや身体の層は、置き去りのままです。
だから、多くの人は、
頑張るほど苦しくなる。
変わろうとするほど、自分を失っていく。
つまり、
「変化」が、さらなる自己抑圧になってしまうのです。
これは、現代社会において非常に象徴的な現象です。
なぜなら、現代社会とは、
「感じないこと」
によって成立している社会だからです。
空気を読む。
効率化する。
感情より生産性を優先する。
つまり、
身体感覚や感情を切断することで、
社会システムに適応しているのです。
そして、その結果として、
慢性的な不安感、
空虚感、
生きている実感の欠如、
自己感覚の喪失、
などが起こってくるのです。
ボディサイコセラピーが重要視するのは、このさらに奥にある「コア」の層です。
ここには、
愛したい、
繋がりたい、
表現したい、
生きたい、
という根源的生命感覚があります。
しかし、多くの場合、人はこのコアに触れる前に、防衛によって止まってしまうのです。
なぜなら、コアは柔らかく、傷つきやすいからです。
そのため、人はマスクを強化し続ける。
しかし皮肉なことに、
マスクを強化するほど、
コアから遠ざかっていくのです。
そして、「自分が分からない」という状態になる。
つまり、
現代人の問題とは、
単なるストレス問題ではなく、
「人格構造そのものの分裂」とも言えるわけです。
そのため、本来的な意味での変容には、
単なる思考修正ではなく、
身体、
感情、
人格構造、
抑圧、
防衛、
これらを含めた統合的アプローチが必要となるのです。
sonomamaワークで行っていることも、基本的には、この方向性にあります。
無理に変えようとはしない。
まず、
何を止めているのかを見る。
身体はどこで緊張しているのか。
どんな感情が抑圧されているのか。
どんな人格適応が起きているのか。
それを、
善悪ではなく、
「生き延びるための戦略」として見ていく。
すると次第に、
身体と感情と自己感覚が再接続されていくのです。
そして、その時はじめて、
「頭で変わろうとする変化」ではなく、
存在全体としての変化が起こり始める。
ボディサイコセラピーとは、
そのような人格の深層に向かうアプローチだと言えるのです。
salon sonomamaでは、
身体・心・神経への統合的なアプローチを通して、“幸せを感じる感度”を育てていくセッションを行っています。
ゲシュタルト療法、心理カウンセリング、ボディサイコセラピー、ムーブメントインテリジェンス、ポリヴェーガル理論などをベースに、
その方のペースに合わせながら、身体・心・神経へ丁寧にアプローチしていきます。
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