身体心理療法では「グラウンディング(根付き)」、つまり地に足が着くことを大切にします。
心理的に安心している人は、地面と身体がしっかりと結ばれ、自分の存在感をはっきりと感じています。
逆に心理的緊張が強かったり、本当の気持ちを見せられない場合、身体は吊り上がり、足が宙に浮いたようになります。
足の外側に体重が偏ったり、腰回りに無理な力が入り、足腰の緊張が日常化していきます。
身体心理療法的に言えば、これは落ちることへの恐れ、失敗への恐れ、成り行きに感情を委ねることへの恐れが姿となって現れているのです。
■私の体験
私も会社員時代、常に緊張感を持つ場面が多く、笑顔でいながらも上半身は上がりきり、足腰はカチコチに固まっていました。
見た目はただの反り腰に思っていましたが、実際は「自由に見える不自由」な状態。
当時は役職や立場に囚われず、思ったことは何でもやり、上司や先輩にも意見していました。
周りからは“自由で我がままに仕事をしている人”に見えたでしょうし、自分でもそう信じていました。
けれど、それは不安を隠すための一つの手段だったのです。
独りになると事務所で空想の世界に入り、帰りの車の中では助手席に架空の人物を座らせ、徹底的に論破するゲームをしていました(笑)。
今思えば、これはゲシュタルト療法のエンプティチェアやサイコドラマと同じ構造で、自然と感情の処理をしていたのだと気づきます。
■頭から身体へ
現代の生活はどうしても思考偏重になり、感情は自然に鬱積します。
話すと元気で健康そうに見える人でも、実はエネルギーが上半身に溜まりすぎて、身体が吊り上がっている人は少なくありません。
情報過多の社会全体が“浮き足立っている”と言ってもいいでしょう。
山を支えるのは土台であり、人間にとっては足腰です。
膝や腰周りが硬く緊張している人は、「大丈夫な自分」「動じない自分」という信仰のような性格をつくりやすくなります。
その緊張を保っている限り、苦しみを自覚せず、上の空で居続けることができるからです。
この能力は社会的に高い成果を出すこともありますが、理想やイメージに入り込みすぎると、身体と心の緊張は強まり続けます。
■信念が抑圧になるとき
あるセラピーには「信仰心とは抑圧の尺度である」という言葉があります。
少し極端な表現かもしれませんが、本質を突いた言葉です。
私の場合、組織にいた頃は
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「利用者主体であるべき」という信仰
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「わかってない人はいらない」という信仰
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「実力に見合う対価を得るべき」という信仰
を強く持っていました。
しかしその裏には、「辛い」「寂しい」「助けてほしい」という本当の自分を感じないよう、見せないように必死で足腰を緊張させていた事実があります。
信念や信条は、自分を支える力にもなりますが、時に本来の自分を抑え込む原因にもなり得るのです。
■成り行きに任せることの難しさ
緊張型の人は、悲しさや弱さを否定し、「自分は大丈夫!」という心理状態を作るために硬直しています。
だからこそ、「自分は本当は苦しい」と認めるのは容易ではありません。
それでも私はカウンセラーとして、深く、話を掘り下げます。
そうすると必ず、根源にある無自覚な心理的負担が見えてきます。
多くは頑張りすぎた過去の体験から生まれたもので、長年続いた心理的緊張が背景にあります。
■足のワーク ― 力を下に降ろす
こうした場合、足と心の緊張を解放するために、まずはあがりきった力を下に降ろすことが大切です。
足の役割は、重力に対抗して下に向かって力を加えること。
落ち着く=落ちて着地する、です。
心理的な気づきとともに、蹴る動きや蹴り下ろす動きを行うことで、鬱積した感情や情動が解放されます。
思考が止まらない人や、上半身の緊張が強い人は、自分の動きや感情の大きさに初めは驚くでしょう。
私もワークを続ける中で、噴火のように感情があふれ、足が勝手に動き回る体験に驚きました。
動き切った後には、嵐の後のような静寂と清々しさが訪れます。
■家でできる簡単グラウンディングワーク
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足の確認
足裏全体を床につける。かかと、土踏まず、つま先が均等に接地しているか感じる。 -
膝のゆるみ
膝を軽く曲げ、足裏に体重を落とし込む。腰や太ももの力を少しずつ抜いていく。 -
蹴る動き
床を下に蹴るように足裏で押し込み、その反動で上半身を軽く伸ばす。吐く息と一緒に、体重をまた足裏へ降ろす。 -
繰り返す
この動作を1〜2分、呼吸と合わせて繰り返す。
終わったら、足の温かさや、腰回りのゆるみを感じてみてください。
地に足がつく感覚が少しずつ戻ってくるはずです。
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