筋肉がつきにくい人の身体には、どんな物語があるのか

2026.07.30

ボディーサイコセラピーが見る「身体と発達」の関係

「頑張って筋トレをしているのに筋肉がつかない。」

「昔から細くて、何をしても身体が変わらない。」

そんな悩みを抱えている人は少なくありません。

一般的には、遺伝やホルモン、栄養状態、トレーニング方法などが理由として挙げられます。もちろん、それらはとても大切な要素です。

しかし、ボディーサイコセラピーでは、もう一つ別の視点から身体を見ていきます。

それは、身体は、その人が生きてきた歴史を映し出しているという考え方です。

◾️ボディーサイコセラピーは「身体の物語」を見る

ボディーサイコセラピーでは、筋肉を単なる筋肉として見ることはありません。

姿勢、呼吸、動き、筋肉の張り方には、その人がどのような環境で育ち、どのように人と関わってきたのかが表れていると考えます。

例えば、腕や手。

私たちは腕を使って、

・抱きしめる
・助けを求める
・受け取る
・押し返す
・掴む
・手を伸ばす

といった行為をしています。

つまり腕は、世界との関係をつくるための身体でもあるのです。

◾️「筋肉がつきにくい」の裏にあるもの

ボディーサイコセラピーでは、幼い頃に十分な応答を得られない体験が繰り返されると、

「どうせ届かない。」

「求めても無駄だ。」

という学習が身体に刻まれることがあると考えます。

その結果、

手を伸ばす。

掴む。

押す。

引き寄せる。

こうした動きそのものが少なくなっていくことがあります。

ここで大切なのは、

心理が直接筋肉を減らすわけではないということです。

けれど、

・身体を十分に使わなくなる
・活動量が減る
・呼吸が浅くなる
・慢性的なストレス状態になる

こうした状態が長く続けば、身体の発達にも少しずつ影響していく可能性があります。

つまり、

心と身体は別々ではなく、お互いに影響し合いながら育っていくという視点です。

◾️赤ちゃんはいつから「諦める」ことを学ぶのか

発達心理学には、「スティルフェイス実験(Still Face Experiment)」という有名な研究があります。

母親が赤ちゃんと普段通りに遊んだあと、突然、表情を消し、一切反応を返さなくなります。

すると赤ちゃんは、まず笑いかけます。

声を出します。

手を伸ばします。

身体を動かし、何とかお母さんとのつながりを取り戻そうとします。

しかし、それでも反応は返ってきません。

赤ちゃんは次第に泣き始め、身体を反らせ、視線をそらし、最後には動きが少なくなっていきます。

この実験は、「赤ちゃんは生まれたときから人との応答を求めて世界へ働きかけている存在である」ことを示した研究として知られています。

もちろん、この数分間の実験だけで性格が決まるわけではありません。

しかし、もしこうした「応答が返ってこない体験」が繰り返されるなら、子どもは次第に働きかけること自体を小さくしていく可能性があります。

ボディーサイコセラピーでは、この「世界へ手を伸ばすことを諦めていく身体」の積み重ねが、姿勢や呼吸、筋肉の使い方にも影響すると考えます。

◾️「エネルギーが流れない」とはどういう意味か

ボディーサイコセラピーでは、

「手にエネルギーが流れていない」

という表現を使うことがあります。

これは血液や神経が流れていないという意味ではありません。

自分の存在を世界へ届ける力。

人に向かって手を伸ばす生命力。

その流れが慢性的に小さくなっている状態を表現しています。

だから私たちが見ているのは、筋肉の量ではなく、

その人が、自分の力を人生の中で使えているか。

ということなのです。

◾️筋肉だけを鍛えても変わらないもの

実際、身体を鍛えていても、

人を押し返すワークになると急に力が抜ける人がいます。

反対に、細身でも、驚くほど安定した力を発揮する人もいます。

この違いは、筋力だけでは説明できません。

「私は求めてもいい。」

「私はここにいていい。」

「私は境界を作っていい。」

そんな身体の深い安心感が、力の出し方に影響していることがあります。

身体には、その人の人生が刻まれている

私は、筋肉が少ない腕を見るとき、

「細い腕だ。」

とは見ません。

「この手は、これまでどれだけ世界へ手を伸ばしてきただろう。」

そんな問いを持ちます。

身体は嘘をつきません。

筋肉のつき方。

姿勢。

呼吸。

立ち方。

歩き方。

その一つひとつに、その人の人生が刻まれています。

だからボディーサイコセラピーでは、筋肉を増やすことだけを目標にはしません。

その人がもう一度、

安心して手を伸ばせること。

受け取れること。

必要なときに押し返せること。

そして、自分の力を人生の中で自由に使えること。

それこそが、本当の意味で「身体が変わる」ということなのだと私は考えています。

salonsonomamaでは、ゲシュタルト療法、心理カウンセリング、ボディサイコセラピー、ムーブメントインテリジェンス、ポリヴェーガル理論などをベースに、
その方のペースに合わせながら、身体・心・神経へ丁寧にアプローチしていきます。

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